はじめに(概要)

オーバープリントとは、印刷においてある色の上に別の色を重ねて印刷する処理です。
特に黒文字や特色の重なりで使われることがありますが、設定ミスや知識不足により、意図しない印刷結果を招くことも少なくありません。
このページでは、オーバープリントの基本から、注意点・トラブル例・チェックポイントまでをまとめてご紹介いたします。
データ作成や入稿の際にぜひご活用ください。

オーバープリントの基本知識

■ オーバープリントとは

オーバープリント(Overprint)は、印刷物の色の上にさらに別の色を重ねて印刷する処理です。
通常、上に乗った色が下の色を「ノックアウト(抜き)」して印刷されますが、オーバープリントが設定されていると、下の色がそのまま残り、両方の色が混ざって印刷されます。
可能であれば重なる箇所はパーツに分けるのも一つの方法です。

■ ノックアウトとの違い

ノックアウト:上に重なるオブジェクトの下にあるものを抜いて印刷。
オーバープリント:下のオブジェクトを残したまま、上のオブジェクトを重ねて印刷。

■ 使用される代表的な場面

黒(K100)文字:小さな文字などで下の色とのズレを防ぐため

特殊効果を狙うアートワーク

よくあるトラブル例

■ 文字が消えたように見える

白にオーバープリントを設定すると、白インクが存在しないため下の色が透けて「消えて見える」現象が起こります。

■ 色の混ざりで意図しない仕上がり

設定ミスにより、思わぬ色の混色が起き、見本と違う印象の仕上がりになることがあります。

■ PDFやプレビューでは見えていたのに印刷物では違う

画面上の表示と、印刷用RIP(製版処理)での解釈が異なり、印刷結果が想定とずれる場合があります。

設定時の注意点

■ デザインソフトでの確認方法

Illustratorでは、「属性パネル」からオブジェクトのオーバープリント設定を確認できます。
見落としがちな箇所にも注意を払いましょう。

■ 黒(K100)は自動的にオーバープリントになることがある

アプリケーションによっては、K100のテキストが初期設定でオーバープリントになることがあり、意図せず適用されている可能性があります。

■ 白にオーバープリントは厳禁

白(Paper)のオブジェクトにオーバープリントが設定されていると、印刷では「透明」と解釈され、見えなくなります。

■ プリフライトチェックを活用

入稿前にプリフライトチェックで意図しないオーバープリント設定を検出しましょう。

データ入稿前のチェックポイント

オブジェクトや文字に不必要なオーバープリント設定がされていないか

白のオブジェクトにオーバープリントが適用されていないか

使用しているソフトのバージョンごとの挙動の違いにも注意

正しく活用するために

オーバープリントは「避けるべき設定」ではなく、「正しく理解して使えば便利な機能」です。
見当ズレ防止のためのK100文字への設定など、活用シーンも多く存在します。
ただし、「意図的な使用」であることが前提です。確認と理解をもって設定しましょう。

印刷前の校正

恐れ入りますが、非対応とさせて頂いております。

ご入稿データのCMYK数値を準拠する商品作製となりますので予めご了承下さい。

まとめ

オーバープリントは便利な機能である反面、知識がないと印刷トラブルの原因になり得ます。

「白のオーバープリント」や「意図しない設定」は代表的なミスのひとつ。

入稿前のチェックが確実です。

正しい設定で高品質な印刷物を目指しましょう!

よくある質問(FAQ)

Q1:黒文字にはオーバープリントを設定すべき?
A:基本的にK100の小さな文字はオーバープリントにすることで見当ズレを防げますが、使用する背景色との関係や読みやすさも考慮してください。

Q2:白にオーバープリントを設定しても大丈夫?
A:白インクは通常の印刷では使用されないため、白にオーバープリントを設定すると「透明」扱いとなり、下の色が透けてしまいます。避けましょう。

Q3:画面で確認した通りに印刷されますか?
A:PDFやデザインソフトのプレビューはあくまで参考であり、実際の印刷処理とは異なる場合があります。
出力プレビューやプリフライトチェックで最終確認を行うことをおすすめします。

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